病理診断ポート関連

医療連携による病理診断システム支援

 我が国の死因の第一位は、「悪性新生物」でありすなわち「がん」です。この「がん」の確定診断には、病理診断が欠かせません。手術などで採取された検査組織や細胞は、特殊な染色手法を用いて、「がん」であるかどうかを診断します。この診断を行う専門家は、「病理診断医」(「病理専門医」、単に「病理医」)と呼ばれています。患者に直接接する臨床医へ必要な知識を与え、治療の支援を行う重要な任務を負っています。

 ところが、我が国の病理医の数は約2,000名程度であり、その平均年齢は約53歳と高齢化が進んでいる状況です。また、この数は対人口比でアメリカの約5分の1という非常に少ない状況です。一方、日本の病理検査数は年間7〜800万症例あり、その約半分が病院内に所属している病理専門医が診断を行っているものの、残り半分は非医療機関である検査会社へ外注されているのが現状です。検査会社が受託を行っている背景には、ひと昔前まで病理診断は医療検査の一部として重要な位置づけとはされていたものの、臨床検査技師法の中に病理検査として規定されているのみで、医療法には規定されていなかったことがあります。

 そこで、2016年の診療報酬改定で「保険医療機関間の連携による病理診断」に関する要件が変更されると共に、日本病理学会からも「全ての病理診断は医療機関で行うことが重要」との通知がなされ、検査会社で実施されている病理検査を見直す動きがでてきました。

 さらに、2020年3月26日付けの厚生労働省の疑義解釈では、「病理学的所見を客観的に記述する行為であれば問題は無いが、その病理検査の結果に基づいて、患者に対して医学判断を伴う罹患の可能性の提示や診断(病理学的診断)を行なう行為は、人体に危害を及ぼすおそれのある行為であることから、医業に該当するため、医師が実施する必要がある。」と、説明されています。

 要するに、現在検査会社で行われている病理検査報告書には、所見以外にも患者の診断に係る情報も記述されていることから、医業行為に該当する。そのため、診断に係る情報を記述することを改めることが、具体的に示された形になります。

 以上の経緯から、臨床医へ提供する患者の診断に係る医療情報においては、保険医療機関に所属する病理専門医が直接提供することが必要となってきており、現在の病理検査の委託業務の仕組みは大幅な見直しが余儀なくされている状況となっています。一方、今まで検査会社へ委託していた臨床医としては、どの様に病理専門医へ診療情報を提供して、どこで病理診断を行って貰えば良いのか? また、その診断報告書はどの様な形で提供して貰えるのか?などの疑問が新たに発生してしまいます。

 弊社は、創業時よりこの病理診断の大きな枠組みの変化がもたらす、新たな課題に対応してまいりました。より具体的には、「臨床医」・「病理医」・「検査会社」の三者をつなぐ医療プラットフォームの運営を担い、医療機関の連携による病理診断の運用を推進かつ支援できるシステム基盤の提供、および業務スキーム構築サポートの事業展開を行っております。

 このように、診断を依頼する「医療機関(臨床医)」の病理診断に必要な患者の診療情報等を、また「検査会社」が作製するガラス標本の情報等を一元管理し、安心・安全な環境下で円滑に効率良く「病理医」に提供し、最終的に依頼元の「医療機関(臨床医)」へ迅速に病理診断の報告書をお届けする、運用づくりの中で、三方がメリットを享受できる仕組みづくりを目指してまいります。

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